コラム

「富士山噴火に備える」──首都圏の課題と今後起こりうる想定外な災害に備える視点

「富士山噴火に備える」──首都圏の課題と今後起こりうる想定外な災害に備える視点

皆さん、こんにちは。

大変ご無沙汰しております。ヤマチコーポレーションの堀です。

前回の投稿からだいぶ時間が空き、今回は2023年4月以来の投稿となります。

 

2019年終盤から東京支店に勤務するようになってから、もう5年以上が経ちます。

当日はコロナ禍真っ只中で、社会全体が混沌としていた時に比べ、昨年はお陰様で

全国の防災・消防機関の皆さんからお声がけをいただく機会がグンと増え、より一層多くの訓練行事のお仕事に携わらせていただいております。

本当にありがとうございます。

 

【国内初開催】実証実験型訓練

さて、今回の防災コラムでは、2025年10月末に私自身が初めて体験した、非常に珍しい実証実験型の訓練についてご紹介させていただきます。さらに、近年私が感じている防災への所見も交えて、お伝えできればと思います。

この訓練は、富士山が噴火し、東京都内の主要道路に火山灰が降り積もったという想定で「富士山噴火による降灰時に都内の交通機能を早期に回復するため、道路除灰の作業効率等を確認・検証する実証実験型の訓練」です。

お聞きしたところによると、この種の実証実験型訓練は国内初開催とのことでした。

 

訓練会場の様子

訓練の特設会場では、高さ1cm、3cm、10cmの火山灰を敷いた仮設道路を設置し、各速度の車両通行性実験、火山灰の押し除灰、視認性の確認(道路上の白線や標識が見えるまでの清掃とその過程検証)、雨天時のスリップ実験、集めた除灰の積込み・運搬、ウニモグ車両や散水車の効力測定、路面清掃車の限界作業検証、等々を行いさまざまなシーンの実験統計をとりました。

 

▼火山灰の高さ1cm、3cm、10cmの仮設道路を設営中の写真▼

 

除灰作業は一見すると単純そうに思えましたが、「濡れた火山灰は手に追えない…」というのが率直な感想でした。

実際に作業を通じて、 除灰作業の難しさを学ぶことができました。

また、現状では道路維持機関が保有する重機や清掃車両等だけでは早期の復旧は非常に難しいと実感しました。

火山灰は濡れると粘りが出て路面にべったりと貼り付き、路面清掃車のブラシをかけても粘土のように広がるだけで全く効果がありません。また、火山灰が乾くとコンクリートのように硬化するという性質もあり、通常の土砂とは違い除灰するのにかなり時間と労力が必要になることがわかりました。

しかし、火山灰は実際濡らして除灰・除去清掃するしか方法はないようです。

 

想定される災害エリアと内容

東京都内の主要道路の長さは何千キロもあるので、全面復旧には数ヶ月単位の時間がかかる可能性があり、都内の交通網はしばらく寸断され、生活や経済活動に大きな打撃を与えることは間違えないと実感しました。その影響は、まさに大災害と言えると思います。

「富士山が噴火するはずない…」と私も固定概念を持っていますが、歴史を紐解くと、富士山はれっきとした活火山です。

もし、富士山が噴火すると東京都多摩西部地区を中心に約10cm前後の火山灰が降灰すると想定されているそうです。

ご興味のある方は、東京都が公開している「東京都富士山除灰特設サイト」をご覧ください。

 

驚いたのが、富士山は噴火した際の火山灰量は約4.9億立方メートルとされており、これは東日本大震災時に発生した災害廃棄物料の約10倍に相当するそうです。(想像もつかない量ですね)

東京都内の想定降灰量は約1.2億平方メートルと膨大です。

火山灰降可能性エリアは下記のマップで想定されています。

 

 

火山灰の想定降灰エリアは広範囲に及び、富士山周辺は50cm、山梨県・神奈川県周辺は30cm、東京都・埼玉県・千葉県は10cmとされています。

さらに、風向きによる各地域の降灰シュミレーションもなされています。

(富士山から100キロ以上ある房総半島全域がすっぽり降灰エリアに想定されているのには驚きました)

 

火山灰による影響とは

「少しの火山灰なら大丈夫」と思う方もいらっしゃるかもしませんが、その影響は過去体験したことのないほどの生活・健康・経済に直結する大震災に繋がる可能性が高いことを改めて認識しなくてはなりません。

 

もし東京都内に大量の火山灰が降るとどうなるのか。

ア、交通インフラが寸断

イ、ライフラインが寸断

ウ、建物倒壊(特に大きな屋根の建物)

エ、健康被害(目・呼吸器系・皮膚等への影響)

オ、農産水産物全盤的に収穫不良

など、複合的な影響が想定されます。

ぜひ、このような被害が起きたら東京都民はどうなるかを想像してみてください。

恐ろしい事態であることがご理解いただけると思います。

 

 

 

課題と教訓

他にも想定外の被害が生じる可能性は十分に考えられます。

私たちが生活する上で欠かせないあらゆる分野に悪影響を及ぼし、経済の中心である東京の企業活動にも大きな打撃を受けます。

また、都内の交通網の復旧にかかる期間が現状予測できていないことも、大きな課題であると感じています。

さらに、都内主要道路に降灰した火山灰の除去作業は、それぞれの道路を管理する道路維持機関が対応を担う仕組みとなっております。今後は各エリアに分割した官民一体の除灰作業体制の確立と最新鋭の除灰作業車両の開発が必要であると感じました。

交通網が途絶えれば、物流も滞り、食料や生活用品が行き渡らなくなる恐れがあります。

こうした事態に備えるためには、防災の基本である最低でも2週間程度の備蓄を日頃から確保しておくことが重要です。

今回は、都内の主要道路に火山灰が降灰した想定の降灰実証実験訓練ではありましたが、いざ活性山が噴火した際の被害はさまざまあで、火砕流、火山泥流、溶岩流、火山ガス、噴石、火山性地震による津波等など、複合的かつ大きな災害が想定されます。

「災害は忘れた頃にやってくる」の教訓を忘れず、あらためて日頃の備えの大切さの重要性を再認識する貴重な実証実験訓練でした。

ご用命いただきました関係機関の皆様、ありがとうございました。

 

最後に

最近私が強く感じていることがあります。それは、誰もが「そんなことがあるはずない」と思われていた事象が、実際に国民の生活を脅かす事態として現実化していることです。

時代の進化や自然の環境変化に伴い、災害が与える影響はますます多様化・広範化しています。

その被害内容や程度も地域によって様々で、直接被害だけではなく間接被害・二次被害・三次被害まで及ぶ可能性があります。

そうした被害に備えるためには、広い視野での創造をし、想定外の被害に備える準備をしておくことが重要だと私の防災認識も変わりつつあります。

災害には「自然の環境変化によって発生する被害」「人がもたらす災害」「疫病災害」と大きく3つに分かれます。ちょっとした災害が複合的に影響しあって大きな被害に繋がっている事例も多く見受けられます。

 

注意突起として見る”災害の事例”

2025年には、これまで想定外とされていた「熊被害」が大きな社会問題となりました。

原因はいろいろとあるようですが、主に山間部での餌不足(ブナやドングリなどの凶作)、気候変動による冬眠時期の変化や長期的な保護政策での人々への警戒心が薄れてきたことなどが挙げられます。

このような背景から、人里に熊が出没する事態が増え、人的被害が発生しています。

今年の熊被害は「自然の環境変化がもたらした災害」と言えるのではないでしょうか。

近年多発している過去経験したことのないハリケーンや竜巻、集中豪雨、大気の高温度化等の災害は、まぎれもなく「自然の環境変化がもたらした災害」です。

これらの災害は、今後さらに「自然の環境変化がもたらす災害」が増えていくことを私たちに伝える注意喚起のメッセージだったのかもしれません。そう考えると、生態系や山の環境が変わるとどうなるか…専門家があらゆる視点で創造していれば、熊被害の想定と対策ができたのかもしれません。

また、熊被害は、これまでは秋田県や北海道地域の一部でのみ起こりうる被害と認識され、問題が先送りされていたのかもしません。しかし秋田県では数年前から熊被害が相次いでおり、自然環境と生態系が変化する昨今、今後国内の熊被害が増える予兆を全国に知らしめていてくれていたのは事実です。

 

未来の災害に備えて…

私たちが住む地域で、些細かもしれませんが何某かの予兆があるにも関わらず対策を先送りすることは、国民の命に直結する甚大な被害に繋がると、この熊被害の事例から学びました。「そんなことがあるはずない」と思っていることが実際に起こっていることを、冷静に認識しなければなりません。

これからは「周囲で起きている些細な出来事から未来の災害を創造し対策すること」が重要なのでしょうね。それには、固定概念を捨てて多角的に創造することが求められます。

今後は、政府を中心に専門学識者や地域の有志で、私たちが暮らす地域の自然環境が変化したら何が起こりうるか…を、もっと広い視野で精度を上げて創造・検証・対策していくことがとても重要だと思いました。

過去の災害事例から学ぶ…が今までの防災訓練の意義でしたが、同時に、これからは周囲で起きている些細な出来度から未来の災害を創造し訓練することが求められていると強く感じます。

私も、これからはそういう未来視点で防災訓練企画をご提案していきたいと思います。

今後も、私が経験してとても勉強になった訓練、とても珍しい訓練、目を通しがちの訓練等の実績があれば、このコラムでご紹介していきたいと思います。

それでは、どうぞ皆様お元気で。またお会いしましょう。

引き続き、弊社をよろしくお願いいたします。

 

この記事を書いた人

堀 裕

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